パッケージアカデミー座談会

2016年9月6日

パッケージアカデミーの講師4人で、パッケージ業界の話からパッケージアカデミーの特長まで、いろいろな話題について座談会を行いました。

参加者:

鈴木美奈子(パッケージ設計士、紙器用抜型設計士)
株式会社中野木型製作所

村上誠(貼箱設計士)
村上紙器工業所

三原美奈子(パッケージデザイナー)
三原美奈子デザイン

聞き手:浪本浩一(グラフィックデザイナー)
株式会社ランデザイン

 

“パッケージ設計デザインの魅力と難しさ”

浪本:まずはパッケージの設計とデザインについて、難しさとたのしさを教えていただけますか。

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梱包までが設計と鈴木氏

鈴木:難しい設計で悩んでいる時に解決方法がひらめいたときはうれしいですね。そしてそのアイデアをクライアントさんに説明しているときがたのしいです。難しいことと言えば、量産できる内容にすることと、運送時の収め方ですね。配送のことも考えておかないとトラブルになります。できるだけ小さくなり、かつ箱の中にきれいにたくさん収まる設計にすること。デザイン設計とはまた違う難しさがあります。

三原:デザインに関しては商品につながるので、メーカーの意図をくんだ上で、想像通りにすることはもちろん、想像を超えつつ受け容れられるものを作るのが難しいところです。たのしさについて言えば、私はもともと図画より工作のほうが好きだったんです。自分にとっては平面で終わるのは物足りなくて、立体のものに感動したり。仕事で平面でデザインが立体になると、魂が入って命が与えられたように感じるのがたのしいです。

浪本:わたしもパッケージや書籍など紙が立体になった時の存在感が好きですね。複雑なものはデータを作るだけでは製造現場に伝わらないので、打ち合わせをしたり、現場に立ち会いに行ったりしてイメージを具体化できるようにしています。パッケージ業界では、デザイナーと構造の設計者、印刷・加工の方々はつながりがあるのでしょうか。

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人によってやり方は様々と村上氏

村上:中規模のメーカーや印刷紙器会社などだと、普段デザインや設計をやってるけど、きちんと教えてくれる先輩がいないので、自分でやってることが合ってるのかわからないという人は多いのかもしれません。また、他のひとはどうやって設計してるのかとか、知りたいとのいうのもあるでしょうね。貼箱でも他社がどんな風につくってるかをみることは殆どないですが、たまに他社を見学すると、「こんな風に作るんや〜!!」と、びっくりすることがあります。ゴールは同じでも、作るプロセスはそこによってまちまちですからね。

浪本:インハウスのデザイナーや設計者は孤軍奮闘しているでしょうね。そういう人たちに来てほしいと思ってるのですが、アカデミー募集の情報が届いているのかなと思っています。 設計をするデザイナーや職人の人たちの多くは、外のと関わりを持たずにもくもくと仕事に打ち込んでいるイメージがありますから。

鈴木:設計してる人同士のつながりなんて殆どないので、それぞれの基準で作ってるデータを見てなるほどねって思います。自分基準の無い人は外部で相談が出来る人を作っておくと心強いですよね。構造の面では確認しておいた方が良いな。と感覚的に思えたらトラブルも減りますし、提案の時に形の話が少しでも出来れば仕事の幅も広がるだろうし、楽しくなると思いますから、設計する事が少しでも楽しくなる様にアカデミーでは苦しんでいただきます(笑)

三原:大学とかでもそうですが、この講座だけ受けて即戦力でできるようになるということはありません。これから一生パッケージを学んでいくための基礎学力、学ぶ方向や学び方が分かるってことかなと。それだけでも大きい事だと思います。基礎のあるなしで成長度合は変わると思うんで、後は自分次第!

浪本:そうですね。きっと参加者はいろいろ学んで仕事に活かしたいということだと思います。デザインについて理解したいとか、構造について理解して提案力を上げるとか。知識が多い分だけ、可能性も広がるでしょうし。じっくり基礎を身につける。でも基礎だけだと飽きてくるかもしれないので、クリエイティブな話や業界の話とかも織り交ぜつつ進めていきましょう(笑)。みなさんの言うように、大学や専門学校などで基礎を勉強できる機会が少ない業界のようなので、いろんなことが整理できると頭がすっきりするのではないでしょうか。

 

“プロの視点と取り組みについて”

浪本:参加者の志望動機を見てみると、量産できる考え方を学びたいというコメントがありますが、その点について教えていただけますか。

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プロの視点について語る三原氏

三原:デザインでいうと、紙の目と紙の取り。機械で作ることができるか。新しいけど、今までの技術を応用した形。そういうところが、作品でなく量産に繋がるポイントだと思います。

鈴木:無駄がないということだと思います。例えば、ケーキ屋さんのパッケージだとして、販売現場で組み立てることを考慮しないといけません。誰でも間違うことなく、短時間で作ることができるようにすること。そういうことも考慮して設計することが量産品には必要です。

村上:量産の場合、製造途中だけでなく、ユーザーの手に渡るまでを考える必要があります。構造もそうですが特に選ぶ素材によって、傷やソリ、汚れなどの変化というかリスクを想像して、お客様の手に届いたときにどうなっているかを考えて作らないといけません。

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業界の変化について考える浪本氏

浪本:また他の志望動機では、グラフィックデザインや軟包装デザインが本職だけど紙パッケージの依頼が増えてきているので総合的に勉強して対応していきたいというのと、紙加工会社の人がより幅広く提案できるよう総合的に学びたいという理由が多いようです。

鈴木:設計や加工を知れば店舗などで箱を見た時に手貼りか機械貼りかなど、ものを見る目が変わっていきますし、マーケティング視点でもなぜこのデザインなのかなどを感じれるようになっていきます。それをどんどん養っていくといい提案につながっていくのではないでしょうか。

村上:私はディテールを大切だといつも思っています。ぱっと見がよくてもディテールの荒い箱ではなく、きちっと設計されている、きちっと作られているということがどういうことか分かっていれば、それぞれの役割を持つプロの人たちにも適切な指示ができるようになります。経験するからこの箱がどれだけすごいのかが分かるんですよ。

三原:とにかくこのアカデミーを通してプロの目になってほしい。目がプロにならないと腕が磨けない。同じ箱を見ても、構造の違いやデザインの違いを分かるようになっていれば、その後の仕事に活かせていける。そういう意味でもパッケージの仕組み、特に設計の考え方とその基礎を学べるのがアカデミーの大きな特長ですね。

(2016.9.5)

 

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講座についての詳細はこちら
http://e-nakanokigata.cc/package-academy

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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